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エネチャージ用リチウムイオンバッテリーは10万オーバー!アイドリングストップって意味あるの?

今頃になって、その存在意義が問われてきているアイドリングストップについて。

アイドリングストップの本来の目的は、アイドリング中にエンジンを停止してその分のガソリンを節約しましょう!

というところ。つまり省燃費対策として出てきました。

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アイドリングストップが出てから数年経過しました。僕自身、このアイドリングストップというものが嫌いです。

理由は2つ。

・交差点待ちで止まると、自分が発進するタイミングで出ることができない(事前にブレーキをリリースしてエンジンを始動させる必要性)

・実はさほど燃費が上がらず、システムの維持費にお金がかかる。

特にアイドリングストップバッテリーについては、通常のバッテリーより費用が高いです。

 

 アイドリングストップって、バッテリーが弱ってくると警告ランプを点灯させます。

エンジン始動時にどれだけバッテリー電圧が残っているか?などをコンピューターがモニターしてるからです。

基準を下回るとアイドリングストップがかからなくなる。

このバッテリーコストを考えると、実はアイドリングストップって総合的にコスト高になるんじゃないって。いうことに皆さんが気が付き始めました。

そしてさらに複雑な制御をしているアイドリングストップは大変。

 

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これは、スズキのエネチャージ用リチウムイオンバッテリー。

このバッテリーが駄目になると交換をしないとアイドリングトップがかからなくなります。

お値段なんと114000円。

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エネチャージはアイドリングストップだけではなく、いろんなものを回生させるために必要です。

例えばエンジンのバッテリーに電気を充電しないと上がってしまう。その発電を行うのはオルタネーターです。

ただ、バッテリーが満タンの状態でオルタネーターを駆動させるとそれはただのロスにしかならない。

ではどうするか?ブレーキング時など車が速度を落とす時にオルタネーターを駆動させて、発電しています。

バッテリーに蓄えきれなくなった電気はリチウムイオンバッテリーへためておく。

そして、必要に応じて電気を供給することで、オルタネーターを必要最低限の駆動で済むようにしているというシステム。

ここまで書くと結構無駄なくエネルギーを回生しているねって話なんですけど、ではどれだけ燃費がいいって?

そもそもそこが疑問です。

そこまで複雑なシステムを駆動していない、同型車種に比べて実用燃費はそこまで大差ないかなっていうのが正直なところ。

そして、バッテリーが駄目になったら114000円。

トータルコストで考えたら損してないって?

多分これに一番最初に気が付いたのがトヨタで、トヨタは今アイドリングストップを搭載しなくなってきました。

初期投資の車両代とメンテナンス代を考えなければ燃費はいいんだろうけど、その恩恵ってどうなのかなという疑問です。

アイドリングストップって、トータルで考えると微妙です。

レクサス高輪で不正車検が行われていた件について考える

レクサス高輪で、不正車検が行われていたと報道がありました。

 

トヨタのHPでも公表している通りです。

対象台数は565台。

・ヘッドライト検査

・サイドスリップ検査

サイドブレーキ検査

この3項目は、検査適合数値に書き換えをした。

 

排気ガステスト

スピードメーターテスト

この2項目は検査を実施しなかったとトヨタHPに記載されています。

 

去年はネッツ系ディーラーで不正車検も起きたことがあります。

あちらの方が台数規模は大きかったですが、またしてもトヨタ系ディーラーでの不正です。

あくまで想像論ですけど、トヨタディーラーと、今回のレクサスディーラーでは状況が違うと思います。

レクサスの顧客はある程度の富裕層をターゲットとしています。顧客層が違う。

どちらかというと、ネッツ系ディーラーでの不正は完全にキャパオーバー。今回のレクサスディーラーではまた違った要素を含んでいるんではないかなと。

今回のレクサスディーラーでは車検担当者が5人。

レクサスでは2時間を車検整備の目安としていたようです。

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僕もレクサスの整備をしたことがありますが、トヨタの大衆車と大きく作りが違います。

レクサスの殆どはエンジンがV型などを搭載して、つくりも複雑。

さらに足回りのアームはアルミを多用しています。普通の金属アームだったら、ブーツの交換などをするとき、ハンマーで当てハンをしてジョイントを抜くことは可能です。

でもアルミになると、下手な衝撃はアームを折損する。

同じ整備でも難易度が変わってくる。

これを2時間で上げないといけないというところが厳しかった。

ネッツの不正車検にも通じるところですけど、そもそも車検って何?ってそこから考え直した方がいいと思います。

今の車検システムで整備する内容や検査する内容って、古くなりすぎてきている。ハイブリッドカー排気ガス検査をしたって基準を下回る事なんかほとんどないですから。

整備士が慢性的に人員不足になってきて、車検整備の内容が複雑化。

一定以上の設備がないと車検出来ない車両が増えてきたため、ディーラーにかかる負荷は大きくなってきていると思います。

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でも僕らのちょっと上の先輩世代って、リコールがめちゃくちゃ多かった時代に、働き方改革なんかまったくなし。残業上等でディーラーは深夜の2時、3時まで整備をしていました。

今はヘッドライトだってLEDになってるし、下手な調整はできない。排気ガスが基準を超えたらキャブみたいな調整はできません。

どれか一つの検査でも落ちてしまうとリカバリーするのが、今の車の方が困難になってきています。

もちろん不正をした店舗や整備士はやってはいけないことをしてしまったのは事実ですが、車検整備自体をそろそろ見直す時が来ているんじゃないかなって。みんなで考え直してほしいですよね。特定整備云々もそうですけど。

 

2サイクルエンジンに燃料添加剤を入れない方がいい?その根拠はなにか?

先日家で使っている草刈り機に、ワコーズのフューエルワンをいれた動画をTikTokにあげてみました。

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皆さん知識がある人が多く、

「2サイクルエンジンに燃料添加剤を入れても大丈夫?」

といった疑問の声もコメント欄に書いてあったんです。

 

 心配するのは確かにごもっともです。2サイクルエンジンの仕組みを知ってる人なら、余計に心配になるかなと。

一応僕も大丈夫かなとワコーズのHPで確認を取りましたが、フューエルワンは2サイクル、4サイクル、ガソリン、ディーゼルエンジンに使えました。

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ただしこれはフューエルワンに限ってのことです。

他の燃料添加剤の中には2サイクルエンジンにいれないでくださいと、書いてあるものもあるかもしれません。

4サイクルと2サイクルで何が違うのか?

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2サイクルと4サイクル最大の違いは、バルブ機構を持っているか持っていないかということ。

これは草刈り機のエンジン内部ですが、ピストンの位置にシリンダーに穴が開いてるのが分かります。

これは掃気ポートや排気ポートです。

2サイクルエンジンは、このように通路を使って混合気を燃焼室へ運びます。

4サイクルはバルブのポートから吸わせますけど。

2サイクルエンジンの特徴の1つにオイル交換がないというものがあります。2サイクルエンジンは、シリンダーやピストンの潤滑にはもちろんオイルを使います。

混合油でガソリンにオイルを混ぜたものを使って、潤滑させながら燃やしているんです。

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この仕組みを知ってる人から、燃料添加剤を入れると油膜切れを起こしてしまうんじゃないかという心配がうまれたようです。

中には2サイクルNGのものもあるかもしれませんが、フューエルワンは大丈夫です。

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これが

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ここまで奇麗になりました。

添加してから1回草刈りをしただけでです。

効果は絶大でした。

新型アクアが出たものの、ヤリスとバッティングするよねっていう素朴な疑問

トヨタって、ディーラーの統合から始まり、取り扱い車種も減らしていくということで話題になりました。

ノア、ヴォクシーエスクァイアで考えるとノアはカローラ店で買えたし、ヴォクシーはネッツ。エスクァイアトヨタ店の取り扱いみたいな。

これはディーラーの種類が多かった為、名前を換えてそれぞれ取り扱ってたわけですよね。トヨタディーラーが1種類しかなければ、そもそも5ナンバーサイズのミニバンはこんなに種類はいらないわけで。

という統廃合をやってきたはずなんですけど新型アクアが出ましたね。

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新型アクアって、ヤリスと思い切りバッティングしますよね。

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新型アクアはハイブリッド専用モデルなので、純粋なガソリン車がほしければヤリスを買うしかないですけど。

ヤリスハイブリッドとアクアってどうなのよって。

迷っちゃいますよね。どこで選ぶかなと。

一番はユーティリティを重視して考えればいいかなと。アクアの方が広いはずです。ヤリスの後部座席は乗ったことがありますけど狭いです。

エンジンはハイブリッド車は同じ。

あとはデザインとか微妙なサイズ等ですかね。でも必要かどうかっていうと、新型アクアが出てくる必要はあまり感じなかったですけどね。

それよりもエスティマ残したほうが良かったんじゃないって。

僕が考えたヤリスとアクアの差別化は

・ガソリン車が欲しいならヤリス

・スポーティなコンパクトが欲しいならGRヤリス

・純粋にハイブリッドで快適に使いたいのなら新型アクア

 

こんなところですね。

燃費はヤリスハイブリッドの方が勝っていますけど。微々たるものだし、乗り方次第ではあまり変わらないと思います。

ヤリスとアクア、どちらを選びますか?

デザインは好みが分かれますよね。新型アクアって、フォードのフェイスタに似てると思うんですよね。

フューエルワンの代わりになるか?AZのFCR-062を買って入れてみた

燃料添加剤の良し悪しはどこで決まるのか?各社いろんな成分を織り交ぜてきていますけど、一つの指針になるのがPEAの配合。

ポリエーテルアミンの略で、エンジン内部のカーボンを除去してくれます。

燃料添加剤の中で一番有名なのが、ワコーズのフューエルワン。

 

 僕も何度もリピート買いしています。

テストも繰り返しましたが、確かにエンジンのカーボンを落としています。

添加後はシリンダーの中が汚れてきます。周りのカーボンを落として燃焼室へ溜まってくるので。それを走行して燃やすということです。

PEA配合燃料添加剤をためすと、エンジンオイルも汚れる傾向にあります。

フューエルワン以外にいいものはないかなと思って買ってみました。

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AZのFCR-062です。

 

 1Lで3000円しないので、分量で計算するとフューエルワンよりお得です。

これを買ってみたので、走行距離7万キロを超えた家の車に入れてみました。

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プラグを外して、シリンダーの中がどうなっているかを確認してみました。

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ピストントップの端っこにカーボンが付着しているのがわかります。

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燃料タンクの量を計算して150mlを投入します。

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これでどうなるか?

もしフューエルワンと同様の効果が得られるのならば、費用対効果でFCR-062の方がお得になります。

1Lで買えば6回車に投入することが可能です。これで3000円切ってきますからね。

フューエルワンなら2本しか買えないので、分量は2倍以上です。

フューエルワンと見比べてみても、似たような液体と臭いを発しているので、PEAはちゃんと配合されていると思います。

さて、結果はどうなるか?

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ガソリンが空っぽになるまで走ったらまたご報告します。

不良の燃料ポンプを分解してみて、ポンプの機械的寿命はここだと再確認

 今まで燃料ポンプって分解したことがありませんでした。そもそも非分解部品です。

分解しようと思ったら、ケースをたたっきるしかないですから。

ダイハツで燃料ポンプリコールが毎日のように入ってきて、せっかくなので不良品の燃料ポンプを分解してみました。

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こちらが純粋な燃料ポンプです。

燃料タンクにはこのポンプを取り囲んでフィルターやらゲージユニットやらがくっついています。

リコール作業ではポンプユニットを分解して燃料ポンプを交換しています。

そもそも燃料ポンプの寿命って何なのか?

もちろん機械的な部品なので、いずれか寿命がやってきます。それよりも先に故障で壊れる事ももちろんあります。

ポンプが故障するケースっていうのは、ガソリンタンクがさび付いている場合。

錆がポンプに回って固着してしまうと、動かなくなります。

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では、正常なポンプが動かなくなるのはどういう状態なのか?

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ポンプを分解してみるとよくわかります。

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ポンプって、モーターそのものの構造です。

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使っていて摩耗する部位はこちらです。モーターなのでブラシがあります。

このブラシがすり減ってしまうと、ポンプが動かなくなるというわけです。

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最近の車では燃料ポンプの故障はほとんどありません。

故障する車は何かしらの要因があります。

正常なポンプが寿命を迎えるのは20万キロを走行したとしても問題なく使われているので、ブラシは相当な距離に耐えうる設計になってると思われます。

いわゆる外的要因やポンプ自体の不良で止まることはあるけど、正常な燃料ポンプは長寿命な部品だという事がわかります。

昔の車は10万キロ弱で動かなくなるものが多かったんですけどね。

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ちなみに今回リコールが出ているのはこのポンプケースの底の部分と、左に持ってるインペラの樹脂部が干渉して動かなくなってしまうというものです。

熱を持つと変形するとされているので、夏場の長距離ドライブ時などがあぶないですね。


www.youtube.com

実際に分解している図です。

部品展開図をFAXでもらうと、絶望的にわかりにくい件

僕は車屋さんですが、ごくたまに部品屋さんになる事もあります。

自分で整備をするお客さんに、これこれこういった部品をオーダーしておいてほしいってオーダーをうけるパターンですね。

直で部品屋さんとやりとりしてくれよーと心の中で叫びながらも、やむを得ず部品屋さんとの仲介に入ります。

今回頼まれたのはアクティのブレーキランプが点灯しっぱなしになってしまったという所からスタート。

この時点で、ああストップランプスイッチのストッパーがもげたか・・と想像します。

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自称整備士のお客さんに、多分この部品がだめになっただろうから取ってくれって、説明を受けました。

うちは部品屋さんではないので、ストップランプスイッチ付近の展開図を流してもらいます。

この時点でFAXの送受信で10円かかってますよね?

そして、絶望的にわかりにくい展開図。

どれがストップランプスイッチのストッパだ?

そもそも現車を見ていないから想像の世界です。

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部品屋さんは22番だ!と主張してきます。いや、22番はペダルを踏んだ時のストッパーの方だろって。

ストップランプスイッチが取りつく部位からみて20番だろということで、20番をオーダー。

絶望的にわかりにくい。

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そして届いたのがこちら。

で、値段は135円位なんです。

うちの仕入れは定価の10%レスなので、13円の利益・・・・。

どうです?FAXで展開図を流してもらったり、電話でやり取りをしていたり伝票を作ったりで儲けは13円。

ボランティア以前に超大赤字ですよね。この部品を取るために20分くらいは部品屋さんとやりとりしたりお客さんとやり取りしてますから。

部品の展開図もわかりにくいし、利益が超薄利過ぎて泣けてくる案件です。

利ザヤの大きい高額な部品ならまだしも、こんなのも一つの仕事なんです。

部品が間違ってたらどうするんだよって。現車を見ていないのはさらに恐ろしい。