僕は今勤めてる整備工場は2社目です。会社を辞めたとかそういうのではなくて、会社が潰れたといえば分かりやすい?
勤めていた会社が存続できなかったから、今の会社にはいったんです。
僕が最初に入った整備工場って、昭和な風景そのものでした。今では考えられない風景が繰り広げられていて、懐かしいです。
入った会社は一番年齢が近い先輩でも20歳も離れていました。
僕はそんな先輩に囲まれて下積み時代を過ごしました。
くわえタバコで工場に入ってくる先輩たち。お客さんと整備士の関係って、今よりも整備士の方がパワーがあったような時代です。
文句があるなら来るんじゃねえってそんな感じ。
今思えばすごかったのは、ブレーキとかタイヤ。記録簿にかかないといけないんですけど、みんな目視。
目視で5mmね。タイヤはうーん3mm位あるんじゃね?って感じでした。
僕は整備主任になってからは、ちゃんとノギスを使って測定しました。
だって、振興会の教授にそうやれって叩き込まれましたから。
さらには規定トルクもでたらめでしたね。感で締め付ける。それでいいのかよって。
こういった経験が反面教師になったのか、僕は精度というものに重きを置くようになりました。
そもそも失敗をした経験がたくさんあるので。
規定トルクを守らないで感で締めたらネジが緩んでしまったことがあります。それ以降、規定トルクって大事なんだなって。
その時はまだ3級整備士だったので、整備主任にすらなってませんでしたけど。
でもよく考えるとその当時の先輩たちは感がある程度いいものを持っていたんでしょうね。
ネジが折れるとかそういうトルクに関するトラブルはなかったですから。
僕は一度失敗したので、重要部位は必ずトルクレンチを使うようにしました。
今では当たり前ですよ。各プーリーや重要な部分。ベアリングのハブロックナットとかホイールナット。絶対トルクレンチじゃないと駄目です。
先輩たちが整備をしていたころって、前回入庫してきたときよりもブレーキパッドの残量が増えてるなんてこともありましたから。
前回5mmだなって記録簿に書いてあったと思えば、今回は5.5mmだなって書いてたり。
古き良き時代とかいい加減とかいろいろありますけど。
その時代の隅っこを経験している人間なので、今の整備やCSとかっていうのはやっぱりちょっと窮屈には感じます。