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現役自動車整備士YouTuberチームMHOの車ブログ

指定工場の自動車検査員の憂鬱とは?みなし公務員として苦しむ現場の検査員

僕は町工場の自動車整備士・検査員として会社に雇われて働いています。

3級整備士から2級整備士、そして検査員とステップアップして現場で業務に従事して、もうどの位たったかな?

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今では先輩と呼ぶ人も事業場管理責任者一人だけになってしまいました。

指定工場って、自前の工場で車検の検査もできてしまう工場です。

これと違うのが認証工場。認証工場は整備作業まではできるけど、検査は陸事に持ち込んで検査してもらわないといけない。

これだけを書くと、指定工場へ検査までできるから認証工場より有利だね~。って。

僕も最初はそう思ってました。でも、認証工場の方がいいね~って思う時も多々あります。

それが指定工場で働く検査員の憂鬱の原因です。

陸事の検査員と指定工場の検査員、最大の違いは何だと思いますか?

指定工場の検査員って、自分たちのお客さんの車を整備して検査しないといけないこと。

陸事の検査員はだれかが整備してきた車を検査すること。

これなんです。

指定工場の検査員はいつも顔を合わせるお客さんから依頼されて、整備をして検査をする。よくあるパターンが

「タイヤの溝が足りないので、交換しないと検査に通りません」

「そんなのいつも利用してるんだから通してくれよ!」

というやり取り。いつも仕事をくださってるお客様からのお願いです。断りづらいですよね。でも断らないといけない。

それをしたら不正車検になるから。

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認証工場だったらこんな手段ができるわけです。

「タイヤの溝が少ないですね~。でもうちのストック品を履かせて検査に行ってくるのでなんとかしますよ!」

「いいね!ありがとう!」

このやり取りはあくまで僕の想像で書いています。認証工場がこれをやってるかどうかっていうとそうでもないですよ。

でも現実的にこれをやったとしても、陸事の検査は通るわけです。検査をしている車両しか陸事の検査員は見てませんからね。

指定工場は自分たちで整備したものを自分たちで検査をする。不正は絶対に許されない状況にあるんです。

その割に、検査員に対する手当なんかうちの会社だと数千円しか資格手当がでません。のしかかる責任の方がヤバいので、検査をしたくないという検査員も多いです。

では指定工場って、お客さんが整備してきた車を整備をしないで検査だけすることはできないの?という疑問もわきますよね?

これは出来ません。ちゃんと整備と検査はセットでないといけません。

点検記録簿に準じて点検をして、それらが全て保安基準上問題がないことを確認する。そして、テスターを使って検査基準をきちんと満たしている車に関してしか、完成検査の合格という証明をすることができません。

陸事に行かなくていいから指定工場の方がいいじゃんというのも、ちょっと誤った認識だということがわかりますよね?

結局今の検査システムだと、車検証を発行するために陸事にはいかないといけないんです。

認証と違うのは、まとめて書類だけを持っていけばいいということ。

認証工場は検査を受けないといけないので、車も持ち込んで検査も受けて書類をもらうという流れになります。

指定工場は10台検査して保適とその他書類を持って行って、10台分の車検証を持って帰ることができる。ここがメリットなだけですね。

もちろん最終申請日などがあるので、最長でも2週間以内に陸事に行かないといけませんけど。

指定工場の検査員って、メリットが非常に少ないです。会社としては効率的だから喜ばしいことですけど、検査員としては責任が非常に重たいので嫌だなって思う人が大多数なのが現実です。