MHOエンジニアリング

現役猫系自動車整備士YouTuberチームMHOの車ブログ

ミニキャブU62T、意外な場所からブレーキフルード漏れとOHのしにくさ

三菱のミニキャブトラックです。車検で入庫してきたんですが、走行距離がまだ1万キロ程度の車両なんですが、ブレーキオイルを点検したら量が少ない・・。

もしかしてと、漏れを確認していったら思わぬところが漏れていました。

 

1万キロとはいえ、年式は結構経過していますからね。

漏れていても不思議ではありません。

室内の塗装がはがれている。

ということは、漏れどころはコチラ。

ブレーキマスターシリンダーが見事なまでに漏れています。ということでマスターシリンダーをOHすることになりました。

 

ブースターの塗装がすごいことになっていますね。

 

まずはインパネのパネルを外します。ビスは1本。あとはクリップ。これでマスターシリンダーまでのアクセスがしやすくなります。

 

塗装のはげっぷりが気持ち悪い模様と化している。

 

ブレーキオイルのタンクは10mmのボルト2本で固定されているので外します。

 

タンクをマスター側へ手繰り寄せる。タンクには液量をモニターするセンサーの配線が繋がっているので外す。

 

タンクを外します。

つづいてフレアナットレンチでブレーキパイプを2本外す。

 

当然下に桶などを用意しておきましょう。

 

マスターシリンダーをマスターバックから外す。12mmのナット2つ。

 

 

 

これでマスターシリンダーが外せます。

 

マスターシリンダーを外した状態です。

 

ブースターも塗装するので、塗装をはがします。

 

恐るべきブレーキオイルの剥離パワー。

 

あとで塗装をし直します。

 

マスターシリンダーとプッシュロッドとの距離を計測しておく。

OHキットは純正しか出ないということなので、距離に変更は出ないと思いますけどね。プッシュロッドまでの距離が変わったら引きずりなどを発生してしまう。

 

マスターシリンダーを分解していきます。

 

ホースを外す。

 

マスターシリンダーは36mmのネジが6角になっているので、モンキーなどで回して外す。

これは珍しいタイプのマスターシリンダーです。

どんどん分解します。

 

これが蓋になっている部分。Oリングが何本か使われている。

 

これがマスターシリンダーのOHキット。カップのみのキットです。ピストンはついてこない。

1250円でした。平成27年3月の価格です。参考までに。

 

ちなみに整備解説書にはOHのことは記載されていなかった。部品にこのような図が転載されています。

 

 部品図が付属されているので、梱包されているOリングを種類別に分ける。これは絶対に間違えないこと。間違えたらブレーキオイルは簡単に漏れてきてしまいます。

 

 

間違えのないように1つずつ交換していく。

Oリングを2本交換。

 

カップは4つあります。3つは同じサイズのもので、あとは1つずつ違う大きさです。間違えないように。

 

ホースにつながるOリングも交換。

 

内側にカップが入っている。傷つけないように外して交換。向きに注意。

 

カップの向きを間違えるとオイルが漏れます。

 

 

 

 

プライマリーピストンとセカンダリーピストンのカップとOリングを交換。

シリンダー内部は洗浄。

 

ピストンとスプリングの向きも間違えないように。

これも内側にカップが入っている。

シリンダーケースの中にスペーサーが入っているので交換。

 

なんとややこしいOHだ。

 

各部品を交換したら、組み付け前に付属のオイルを塗布。

シリンダー内面に塗布するように指示されています。

 

ピストンのプラスチックの部分に黒丸を描きましたが、ここに突起があります。この突起を

 

シリンダー内のくぼみに合わせるようにはめる。

 

きちんと位置が合えば、押し込んだ時に、リテーナーがホースの部分にささって位置が固定されます。

 

これでピストンのプラスチック部分が固定されているので、この状態で蓋をします。

 

書き忘れたけど、この蓋も外す前にどこまで締まっていたかを印をつけてから外しています。目安になります。

 

完成。ちなみにこのミニキャブのマスターシリンダーのOHは整備指数で定期点検と一緒なら0,9時間。1時間以上かかると思うけど・・。エア抜きがあるし。

 

マスターシリンダーとマスターバックの取り付け面に付属のガスケットを入れる。

 

OHしたマスターシリンダーを組み付ける。

 

ここは簡単。

 

あとは恐怖のエア抜きです。マスターシリンダーをOHした時は、4輪全てエア抜きをしないといけません。これがなかなかエアが抜けない。

 

エア抜きをしたら、漏れがないかを確認する。そして、ブレーキの踏みしろと踏み心地、そして、引きずりがないかを確認して終了です。