MHOエンジニアリング

現役猫系自動車整備士YouTuberチームMHOの車ブログ

車検後にランプがついて、追加で高額な部品を交換された!これだって不正だろ?という意見について

インターネットって、やっぱり怖いなと思うところがあります。

 

今問題になってるビッグモーターの不正問題ですが、コメント欄を見ているとこれは違うだろうっていうことについても不正だろ!とたくさん書き込まれてます。

 

コメントに書いてあったのが、車検を出した後にエンジンが不調になって、イグニッションコイルがダメになった。

追加でコイルを交換された。これは不正じゃないのか?

というパターン。

一部報道で不正が表面化されると、全てが怪しいとなってしまうんでしょうね。

これ、不正でもなんでもないです。

うちの会社だってそうですから。たまたま車検の時は問題なかったんだけど、納車してしばらくしてから故障してしまったパターン。

これって一番タチが悪いです。前もクラッチが切れなくなってクレームをもらった話を書きましたが同じです。

例えば、ファンベルトやブレーキパッド。明らかに目視で寿命がちかいとわかるパーツについては、次の車検や点検までもたなそうなら交換をお勧めします。

ベルトは亀裂が入ったり、痩せ細ったりするしブレーキパッドは薄くなってくるから寿命がわかりやすい。

O2センサなどもそうですが、突発的に壊れてしまう故障については、予防整備が難しいです。

というのもイグニッションコイルは1つ1万円近くする部品だし、O2センサだって2万円を超える車もあります。

5万キロ超えたので、予防でコイルとO2センサも交換しておきましょうか?というのは、ちょっと過剰整備な印象になってしまいます。

もちろん車が絶対に故障や不調を起こしてはいけない人には、交換を進めることが多いです。例えば黒ナンバーの事業用貨物など。

配達業務なので、エンジンが不調になったらそこで配達がストップしてしまいますから。ある程度過剰であっても故障するリスクが高いパーツで、走行困難になるものについては早め交換が安心ですから。

壊れてもない部品を、診断機で読み取ったら過去にエラーコードが出ていたので交換しておきました!

というのはちょっと不正の臭いを感じます。そのコードが部品の故障を間違いなく表しているものなのかそうではないのかの判別がつきにくいし。

裏を返せば、そういう逆パターンの不正だって可能ということになってしまいます。

証拠を見せろと言われたら、最初にあえて故障コードを表示させておいて、それを写真に撮っておく。

それを請求書と一緒に印刷しておけば、一応証拠の提出は可能ですよね?故障コードなんかセンサのカプラを抜くだけで再現させることができます。

そうではなくて、車検後に壊れて追加整備が発生した!というのは当たり前のことで、不正でもなんでもないんです。

車検の時に正常だったら、その部品を交換する理由が見当たらないからです。

整備士をやっていると、こういうタイミングの悪い故障でお客さんの信頼を損ねてしまうことが、正直心苦しいです。

タイミングが悪くて納得してもらえない場合、工賃をサービスで部品を交換する。そういう着地点を探っていくしかないですから。

整備する側からしても、だったら車検の時に不調になっていてくれよーと叫びたい。

車検のタイミングで不調になってれば、工賃も通常価格でもらえます。

車検後に壊れると、納得してもらえなくて工賃サービスになる・・・。こういう実情ってすごく多いんです。

車検後に追加整備が発生したっていうのは、ある意味致し方がない点があることをわかってもらえると嬉しいですね。

 

 

燃料添加剤を入れると、エンジンの汚れを落としてくれるのでおすすめです。