MHOエンジニアリング

現役猫系自動車整備士YouTuberチームMHOの車ブログ

キーシリンダーに潤滑剤の類は使ってはいけないという実例

鍵を抜いているのにピーピーなるんだけど・・・。

こんな相談をうけて、車を預かりました。

車はTT型のサンバーです。

はて、サンバーでそんな症状はあまり聞いたことがないなぁと。とりあえず見てみることに。

すると、お客さんの言う通り。

キーが抜けているのにドアが開いていると、ピーピーピーという警告音がなります。

ドアを締めると音は止まります。

これは明らかにキーの抜き忘れ防止音が作動している。

調べてみると、やはりキー抜き忘れ防止音で間違いありませんでした。

気になったのは、鍵が結構すり減っていること。

そして、シリンダーになかなか刺さらない。さらには回りにくい。

典型的なキーが減ってる状態です。

お客さんにちょっと話を聞いてみたら、この前車検をやったばかりだということ。

その時に整備士にキーが回りにくいと伝えて何かしてもらったというのです。

納品書を見てみると、キーシリンダー清掃・給油となっています。うわーあるあるの常套文句です。

この車の場合、キーを差し込むことで一つのスイッチをONにしています。

恐らくシリンダーの上にある白い樹脂部分。

シリンダー内部へキーを差し込むと、ここでスイッチを機械的に押す。

するとこの白い樹脂部分から出ている2極カプラーがONになって、ドアのカーテシスイッチと連動して警告音を鳴らす仕組みです。

サーキットテスタでカプラの導通点検をすると結果を見るまでもなく導通しています。

ではなんでそうなっちゃったか?

問題はキーシリンダーの清掃・給油です。

多分車検整備を担当した整備士がエアーだけではなく潤滑剤の類を流し込んでしまった。

それが原因です。

CRCなどの潤滑剤を流し込んで、ショート。

ではでは、シリコン系のスプレーを流し込んだら絶縁。

どちらもNG。

機械的なキーシリンダーなら、電気の問題は発生しないからいいんですけど、配線やスイッチが組み込まれてるタイプは駄目です。

サンバーならドアのシリンダーとかなら配線がつながってないからいいけど。

メインシリンダーは駄目です。

ということで、内部ショートを改善できるかとパーツクリーナーとエアーで清掃しまくったら直りました。

鍵穴に変なスプレーをするのは止めてください。

 

百歩譲って、こういう専用スプレーにしておいてください。

配線やスイッチングが組み込まれてるシリンダーは気を付けて。