2年くらい前にいろは坂でホンダ車がこぞって動かなくなった。というニュースがありました。
今年もお盆の帰省で渋滞にて、ホンダ車が立ち往生してしまった。という報道がされています。
なんでなのかを解説してみたいと思います。
まず動かなくなっているのは第二世代のホンダハイブリッド。
i-DCDを搭載している車です。フィットや初代ヴェゼルなど。
リコールが非常に多く出たシステムです。
なんで動かなくなるのか?この車のミッションってDCTを採用しています。CVTとかATじゃなくてデュアルクラッチトランスミッションです。
GT-Rと同じといえば聞こえはいいかもしれません。
奇数のギヤに対してクラッチが1つ。偶数のギヤに対してクラッチが1つ。2つのクラッチを使って、瞬時にギヤチェンジをオートでしています。
ATだとトルコンを使ってるので、動力伝達にどうしてもロスが出ます。DCTの場合はマニュアルと同じ伝達効率で、それをしかも瞬時に機械が行ってくれてるので、非常にダイレクトなミッションになるのです。
では、渋滞の時を考えてみましょう。マニュアルに乗ったことある人なら、渋滞だと大変だーと思いますよね?
前の車が動いたらクラッチ切ってローに入れて半クラで少しすすむ。前が詰まったらクラッチを切って、なんならニュートラルに戻して、また前の車が動くまで待機。
こんな動作を渋滞が終わるまで延々と繰り返さないといけません。ATの場合はクリープ現象があるので、ブレーキを離したり、踏んだりだけで前の車との距離は詰められます。
ではDCTの場合はどうか?やっぱりクラッチがあるので、機械が半クラを駆使して動かしてくれるんです。
ドライバー側はまあATなどと同じで、アクセルとブレーキだけを使えばいい。
ならばなぜ立ち往生してしまうのか?
i-DCDは例えば高速道路で渋滞にハマった時、最初はハイブリッドモードでモーター駆動をして動かすことができます。
しかし、ハイブリッドバッテリーが底をついたとき、モーターで動けなくなるのでDCTがクラッチを切ったりして車を動かすんです。
通常の渋滞くらいなら大丈夫なんですけど、お盆の帰省で30kmの渋滞なんかにハマってしまうと、ミッションが高温になりすぎて制御が入ってしまう。
これがホンダのi-DCDが立ち往生する原因です。もう構造的にどうしようもないんです。
ホンダが考えている以上に日本の道路事情が過酷だったということですね。まあそれは言い訳にしかすぎませんけどね。
日本の自動車メーカーなんだし。
できる対策っていうのは、悪あがきレベルですけどマニュアルモードにして、変速しないで全走者との距離をつめるくらいです。
ちょっと前の車との距離があいたら、なんならシフトチェンジするじゃないですか?それをしないでギヤは固定で追従していく。
するとクラッチは1回繋げるだけでいいので、負担が減ると。
まあフルードはこまめに変えた方がいいですよね。
今のホンダのハイブリッドは、日産のe-Powerに近いシステムを採用しているので、こんな問題は起きません。
こういうことを総合的に考えるとトヨタハイブリッドシステムがいかに最初から優れているのかがよくわかりますね。