MHOエンジニアリング

現役猫系自動車整備士YouTuberチームMHOの車ブログ

べーパーロックは整備不良、フェードはある意味致し方ないと思う

バスで痛ましい事故が発生しました。原因はフェード現象ではないかと調査されています。

ネットのニュースを読むと、べーパーロックとフェード現象について混同されてる人がたくさんいることがわかりました。

 

ちょっとだけ書いてみます。

 

まず前提としてべーパーロックもフェードも熱による原因で発生します。

 

べーパーロックはブレーキフルード。フェードはブレーキパッドやブレーキシューにかかわってきます。

 

べーパーロックっていうのは、ブレーキフルードの沸点を超えて熱せられ、ブレーキライン内でフルードが沸騰して起きる現象です。

これ、ある種の整備不良でもあるんです。というのも車検ごとにブレーキフルードって交換するものですが、けちって交換しないと沸点がさがりやすくなりべーパーロックしやすくなる。

もちろん入れているフルードがDOT3からDOT4に上げたりすると、さらに効果的に防止できます。

しかしDOTの数字を上げると吸水性も高くなるので、頻繁に交換する人以外はやはり劣化が早くなるので注意が必要です。

 

これに対してフェード現象

もちろん下りでブレーキを使いすぎると起きるわけですが、これってブレーキパッドやシューの素材によるものなので、いかんともしがたいわけです。

例え新品に交換していたとしても、その摩材の設定温度がワイドレンジでなければフェードしやすくなる。

今回のバスに使われていたブレーキが、どの程度の可動域まで耐えうる摩材だったのかは不明ですが、おそらくバスやトラックのブレーキパッドとかって、乗用車よりも荷重がかかるので温度域はワイドだと思いますね。

逆にもっと設定温度がワイドレンジに幅広いパッドが存在していたのであれば、フェードはしなかった可能性もありますから。

下り坂でブレーキがフェードするってものすごく恐怖です。僕も一度経験がありますが、すぐにブレーキが効くうちに停車して温度を下げましたが、それが出来ないシチュエーションだったらと思うと。

もちろん被害に遭われてしまった方には、何と申し上げていいか分かりませんが、運転手さんだけを責めるのは違うかなと。