MHOエンジニアリング

現役猫系自動車整備士YouTuberチームMHOの車ブログ

【実話】本日あった車検整備でのお客さんとのやりとり

今日もサラリーマン整備士として、必死に頑張っています。

 

久しぶりに強烈なお客さんに遭遇したので、そのやり取りを紹介します。

 

S社の車が車検で入ってきました。受け入れをしていると、何だかフロントタイヤの動きが重たい・・。

恐らくブレーキテスタで引きずりを点検したら、わからないレベルですが。

 

明らかにブレーキを引きずっているようでした。

 

フロントブレーキを分解してみると、やはりダストブーツから水や異物が混入したようで、ピストンも錆びついていた為オーバーホールが必要でした。

 

それを踏まえて、見積もりを立ててお客さんへ電話しました。

 

僕「本日は車検ありがとうございます。今回の車検ですが、車検を通すのに最低限修理が必要な箇所があります。」

 

お客さん「おう、どこだ?」

 

僕「フロントのブレーキが引きずっています。このままにしておくと、症状がひどくなり大変危険なのでブレーキを分解してオーバーホール作業が必要です。」

 

お客さん「はあ?おれが乗ってきた今までの車、そんなことは一度もなかった!そりゃお前、その車欠陥品だな!」

 

このお客さんは2年前に中古車でこの車を購入しているようで、初年度登録は15年落ちでしたが、登録年月日は2年前。

 

恐らくどこかで車検付きで販売してもらったのかなと推測します。

 

僕「原因は、ブレーキを保護しているダストブーツが、劣化と異物などが挟まったことが原因で破れていました。そこから水などが侵入して錆びついています。」

 

お客さん「そんなことはどうでもいい。大体そんなブーツがすぐに切れるほうがおかしいな!リコールだ!早くメーカーにもっていってくれ!」

 

僕「おっしゃっている事はごもっともだと思います。しかしながら、お客様がお乗りのお車以外であっても、このような症状が往々にしてあることは確かなのです。」

 

お客さん「で、いくらかかるんだ?」

 

僕「ブレーキのオーバーホールで、交換する部品は、ブレーキキャリパーの中にあるピストン、保護しているシールキット、ブレーキパッド。それにブレーキフルードも抜けますので交換が必要になります。概算で2万円前後かかってきます。」

 

お客さん「おい、人を馬鹿にするのもたいがいにしろよ?もういいから車検なんかやらねぇから今すぐ返せや!な?今すぐもってこい」

 

僕「・・・・・」

 

と、このようなやり取りをしていました。

 

そもそもブレーキのオーバーホールって、本来なら決まったスパンで行うべき作業です。ただ、車検整備の実態ではブレーキフルードを交換、パッドやシュー、ローターにの交換をするのがメインで、オーバーホールは決まったスパンで行うことは少なくなってきています。

やっぱりお客さんの金銭的な負担が高いからですね。

 

なので、このように不具合が発生した時にオーバーホールをする。というのが今の車検整備の主流になっているのは確かです。

 

お客さんが前に乗っていた車はそんなことなかったっていうのは、多分間違ってないし、オーバーホールしなくて代替までもったということは、よかったねということなんです。

 

しかし目の前に預かってる車は実際問題引きずりを起こしているので、このまま使えば熱をもって車両火災真っ逆さまです。

 

お客さんの言い分もわかるし、でもこのままでもどうしようもないし。

 

めちゃくちゃな要求をされてるので、非常に対応が困りました。沈黙の後電話をガチャっと切られてしまって、とりあえずは上司に相談しました。

 

選択肢は2つです。会社として、この車両の整備を引き受けないで戻すか?それかもう少し話をして妥協点を探るか?

 

結局どうしたかというと、この時代の事を考えると妥協点を探すほうがいいのではないかとなりました。

 

もう一度嫌な気持ちを振り切って電話をしました。ディーラーにはお客さんの言い分を必ず伝えること。メーカーにはお客様相談室があるので、不満を言ってみてはいかがかということ。

 

実際問題、部品代はこれだけかかるし、作業をしないと車検は通せないということ。他の工場へ出してもやむを得ないけど、おそらく結果は同じだろうということ。

 

これらを1時間くらいずーっと電話で説得して、今回の車検ではある程度こちらもサービスをするからどうですかと?最終的に約10万かかる車検を8万円にして何とかするからという事で妥協しました。

 

僕は本当は妥協したくなかったのが本音です。理由は、このお客さんの事は昔から知っているけれど、おそらく次回も何かがあったら難癖をつけてくるだろうと。

 

会社として弱腰で臨んでいると、ごねたらお金をまけさせられるという事になります。すると、通常料金で頂いているお客さんに非常に申し訳がないなという気持ちにもなります。

 

僕が本当はしたかったのは、上司にも伝えましたけど、一旦は車を戻して相手の出方を見てみたかったです。

 

というのも似たようなパターンのやり取りを僕は何度も何度も経験してきました。経験則で、その大半の人は数日後に他の工場からも現実を突きつけられて、結局戻ってくる。

 

このお客さんに必要なのはセカンドオピニオンの意見なんです。他の工場からも同じことを言われれば、若干の工賃の差はあれど納得せざるを得ませんから。

 

ということで、今日も非常にくたびれてしまいました。こういうやり取りって、すごく無駄に感じてしまいます。

 

昨日はリース会社、今日はお客さん・・・。やはり対人間相手っていうのは一番心にズドーンと来ちゃいますよね。

 

全国のお客様相談室の皆様、毎日お疲れさまです。