ネットのニュースにも上がってきたこの問題。
一昔前までは、たまにしか出ない故障原因を特定する為に、担当の整備士があえて通勤をテスト走行も兼ねるという手段を取っていたディーラーもあります。その時は最初に承諾を求められましたけどね。 https://t.co/Uvm05On2gd
— チームMHO (@teammho) 2020年2月28日
内容はスバルディーラーに車を預けたら営業時間外に事故を起こされてしまったという。当初スバル側から説明されたのは路上テストで事故を起こしたと。
しかし、この方はドライブレコーダーを取り付けていて、映像を見たら事実と異なっていた。どうやらスバルの人が自宅へ乗って帰っていたと。
いずれにしろこれは非常にマズイと思います。
細かいやりとりまではわかりませんが、駄目ですね・・・。これ。
まずドライブレコーダーの映像を見ると、事故の内容もひどい。追突していますからね。この状況下の事故だと運転している人の過失はほぼ100%です。
ぶつけられた前の車もかわいそうです。
ネットの情報を読むと、路上テスト中の事故と説明されたけど、ドライブレコーダーの画像には前の日にサービスマンが自宅までお客さんの車で帰って、翌日の通勤途中ではないか?という疑惑。
いずれにしろスバルと被害者の間では話し合いがあって、保証内容など打ち合わせも済んでいるとのことです。
この件について、車業界ではこんなことって本当にあることなのか?という闇の部分について、現役整備士の立場からお答えします。
まず、テスト走行のためにお客さんの車で通勤するということは、ごくまれにあります。僕自身も経験したことがあります。僕がやったわけではないのですが、うちの診断機で読み取れない外国車の整備を正規ディーラーに外注相談した時。
その時の故障って、たまーにエンジンが不調になる。それをどうにかしてほしいというのがオーナーの願いでした。で、そのエンジンが不調になるという症状、まったく再現ができなかったのです。おそらく3か月に1回出るか出ないかくらいの症状。
これを直せっていうのはすごく難しいのは簡単に想像ができますね。その時外国車の正規ディーラーから相談されたのは、担当のサービススタッフの通勤にも使わせてもらって、テスト走行の時間を増やしてもいいかお客さんに承諾を取ってくれというもの。
このことをお客さんに伝えたら、それでもいいから直してほしいとの返答。
結果このサービスマンが執念のテスト走行の末、原因を突き止めて修理に至ったというケースです。戻ってきたメーターを確認すると、オドメーターが500kmくらい伸びてました。
故障を修理する時の大前提って、故障を再現するところからスタートします。お客さんが直してほしいという症状とその症状が一致しているのか?誤診を防ぐ為にも、絶対に再現させることが不可欠です。
故障が出たら診断機のデータモニタなどで車からの情報を集め、少しずつ怪しい部位をつぶしていくわけです。腕利きの整備士って、お医者さん並みに頭がいいと僕は思う。常に勉強をし続けないと現代の難しい故障は修理できません。
へっぽこ整備士は部品交換ぐらいしかできません。
今回スバルディーラーが起こした事故が、もし僕が紹介したのと同じだったらどうか?故障頻度の低いレアな症状を直さないといけない。2月3月って車業界は登録車両が多いから、一番忙しい時期です。
ない時間を絞って診断するには通勤時間も利用するしかない・・・。こんな整備士の気持ちも痛いほどわかります。待たせているお客さんに対しても申し訳ない気持ちがありますし。
やはり就業時間外にテスト走行をするのであれば、会社とオーナーに事前に相談してからやらないとまずいですね。昔はドライブレコーダーなんかなかったから、明るみにされなかったこの問題。実際はもっと多くあるケースなのかもしれません。
僕は今まで通勤時間帯にテスト走行をしたことはありません。近所のお客さんの車検車両を通勤時に引き取りながら出勤するというケースはあります。それはお客さんと会社にOKをもらっています。
残念なのが、こういったことが明るみに出ると、後からいろんな不満がネット上に出てくることですね。みんな不満を持っているんだなって。
整備士は今回の件を自分の身に当てはめて、こういうことが二度と起きないようにしなくてはいけませんね。