そんな馬鹿な・・・やめてくださいよ・・・。結果を書くとこういうリアクションを取らざるを得ない出来事が起きたので紹介します。
事の発端は一本の電話
「家から車を出して、しばらく走ったら急に車が動かなくなった!どうすればいい?」
これはいろんな意味で強烈な内容でした。車屋さんにかかってくる緊急ヘルプ要請電話。いかに短時間で解決できるか?ここにCS向上のカギがあります。僕はこの手の電話が大得意です。
電話を最初に女性事務員さんが受けて、受話器越しに聞こえる情報で推理を開始。まずはかかってきた電話番号を違う電話から検索。
その電話番号をパソコンに打ち込むと該当する車両が検索できます。
うちのユーザーであるAさんで間違いなさそうです。女性事務員さんが、とりあえず車のナンバーを聞いているので、復唱しているナンバーの車を僕もそばで検索。
Aさんの車で某S社の軽自動車だということがわかりました。いつも活用してくださっている優良ユーザー様で、このAさんの車はCVT。マニュアルではない。年式は新しく、スマートキー搭載のアイドリングストップ付き車両です。
ナンバーまで女性事務員さんが聞き出したところで、僕に電話をバントンタッチ。近くに後輩メカニックを連れてきて、僕とお客さんの電話のやり取りから何を装備して現場へ向かうべきかを考えてもらう。
とりあえず情報が少なすぎるので、車が動かない理由を聞いてみました。高年式のAさんの車。動かなくなったということでマニュアル車で別の車だと思ったのです。もしかしたらクラッチが滑ったとか?
車がなぜ動かないのか、短時間に問診します。
僕「Aさん、車が動かないという症状は詳しくどのような症状ですか?エンジンはかかってますか?」
Aさん「エンジンはかからない」
僕「エンジンをかけようとしてみてください。メーターパネルに電気はつきますか?」
Aさん「いつもと様子が違う。つかない」
この時点で、オルタネーターがまさかこの年式で壊れて走行中バッテリーが上がったのか?ということが頭をよぎりました。
それかオルタネーターベルトが切れたか?
しかしもう少し情報を聞き出す必要があります。
僕「CVTですよね?ギヤはDに入ってませんか?Pに戻してエンジンをかけてみてください」
Aさん「いや、今はPに戻している」
ここまでで正解がわかった人はすごいです。
この時点で後輩はとりあえず適合するバッテリーを持って現場にレッカーに行こうと準備をしていましたが、経験上気になったことがあったので最後の質問をぶつけてみました。
僕「Aさん、カギって持ってますか?」
Aさん「何を馬鹿なことを言ってるんだ!持ってなきゃここまで来れないだろ!当然もってる!」
しかしもう少し聞き出さないといけないことがあったので質問を続けます。
僕「Aさん、そのカギってその車のものですか?」
Aさん「おいおい、君は何を言ってるんだ?当たり前だろう!」
僕「Aさんのお宅には同じメーカーの車が2台あります。いずれもスマートキー搭載車です。もしかして間違えてませんか?」
Aさん「はあ?そんなわけ・・・・」
ここで沈黙。
Aさん「あっ!これ娘の車のキーだ・・」
ということで回答編に入ります。
何故エンジンがかかって少しの間乗れたのか?
Aさんの家は玄関先に車を停めています。キーも玄関先のホルダーにかけています。エンジン始動はちゃんとしたメインキーを使ってかけた。
この日はあまり寒くはなかったのですが、すぐに出発しないで準備を整えたりして若干の暖機運転をしたと思われます。
そして車のキーを持って出かけた。しかし持って行ったキーは娘さんの車のほうだった。
では走行中何故エンジンが止まったか?これはあくまで推測ですが、本当にエンジンが不調になってアイドリングが続かなくてストールした説。
もう一つは、裏を取っていないんですがアイドリングストップしてしまったということ。このメーカーのAさんが乗っている車種はスマートキーを携帯していなくてももしかしてアイドリングストップするのかもしれない(これは推測です。きちんと裏をとっていませんのであしからず)
いずれにしろ走行中に不幸にもエンストをしてしまった。その後持っていたキーでは再始動ができなかったということです。
まさかのキーを間違えている。
これ、僕は実際に体験したことがあります。違うお客さんの家にクラウンを整備で預かりに行った。オーナーからキーを受け取って、オーナーが立会いのもと車のエンジンをかけて預かった。
工場について駐車場へ停止させたあと、エンジンがかからなくなった。
何故?この時はパニックになった。よーく見るとカギが違うんです。クラウンマークのスマートキーじゃなくて、トヨタマークのスマートキー。
この家には確かプリウスを乗ってる人がいて、プリウスのキーを渡されたというオチ。最初にエンジンがかかったのはお客さんが本物のキーを持っていて、そばにいたから偶然スマートキーの電波がとどいてエンジンがかかった。
だけど一回エンジンをとめちゃうと、再始動ができなくなる。こういう体験を昔したことがあります。
なので、スマートキー搭載車って本当に思いもよらぬトラブルに遭遇することがあるのでびっくりです。
Aさんは家の近所だったので、走ってキーを取りに行って事なきを得ました。
こんなありえないような本当の話があるので、頭の片隅にでもおいておいてください。